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Author:sakaiyukina
振付家・ダンサーの酒井幸菜による日々の制作メモ

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【掲載】
月刊ブレーン 2013年4月号
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まっすぐ 海


折り返しの停留所でバスを降りて、
ゆけるところまで まっすぐ歩くことにした。
(秋の日差しはまだ暑く、午後の1時過ぎ。)

割れたままの硝子が道の真ん中に。
枯れない花が側溝に。
玉蜀黍(とうもろこし)が伸びて。

海岸線に沿って植えられた防風林は、
まばらで、もう頼りなく、西に傾いているように見える。

バスを降りてすぐに潮の匂いを感じたけれど、
もう鼻もなれてしまったようで、
黙々とわたしたちは歩いた。
どこまでゆけるかわからないけれど、

横断歩道を渡った。信号はいきている。
行き交うのはほとんどがダンプ。
運転手たちは、見た目に場違いなわたしたちを
でも、どうしてここにいるのかをわかっているようだった。

剥き出しのタイル。
きっとここがお風呂だったんだね、
流されなかったんだね、
タイルって水に強いんだね、
そこにあった家。

橋も渡った。
その先で、赤い旗のついたロープが見えて、
あそこまでが、このまっすぐの突き当りとなる。
人はほとんどいない。
とても静かだった。
わたしたちはその突き当りを左手に沿ってしばらく歩いて、
倒れた松の木の間にある小道に分け入った。
砂が靴に少し入ってきた。
この向こうにあの海がある。

空が蒼い。

コンクリートの短い坂を上がって、
海がみえた。
白い砂浜。
岩にあたって白く散る波。
浜辺にいるかもめたち。
コーヒーの空き缶が手前に1つあった。
右の方では煙があがっている。
(来る前に寄った銀行のテレビで流れていたニュースで、
それががれき処理地の火事だとすぐにわかった。)

すれ違ったわたしたちを不審に思ったのか、
管理の人らしき男性がわたしたちの背後にきたけれど、
何も言わずに遠くを見て去っていった。

わたしたちは浜には降りなかった。
そのままぐるりと来た道に向いた。
俯瞰で見ていた何にもなくなった土地の広さを、
水平に見渡すと、
もうずっとこのままあったかのような風景に見えた。
倒れた松の木に埋もれた景色は、
いつかみた映画のカットのようで、
未来とか過去とかではない、
どこでもない、ネバーランドの風だった。

行きに避けた割れたままの硝子をまた避けて、
来た道をまっすぐ、黙々歩いた。
1時間に1本のバスは15分前に行ってしまって、
わたしたちは買っておいたあんぱんを分け合って、
メリーポピンズのおまじないを歌ったりして待った。
途中で自転車に乗った少年少女たちと
「こんにちは」と挨拶を交わし、
風景を眺めにきただけのわたしはちょっと気が引けた。
でも「生きていることが誰かの励ましになるよ」と、
隣で彼女は励ましてくれた。


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仙台にいる友人を訪ね、荒浜地区を歩いたその風景を、
わたしに留めておくためのメモとして。



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